ヒプノセラピー研究論文:アレルギー性皮膚反応に対する催眠の効果 | ヒプノセラピーのアンダーセンス
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ヒプノセラピー研究論文:喘息、花粉症におけるアレルギー性皮膚反応に対する催眠の効果

研究論文

前置き

国内外でのヒプノセラピーに関する研究のご紹介をしていこうと思います。

催眠の研究は50年以上前から行われており、しっかりとした結果が出ているということをこれらの研究内容から知っていただければと願っています。

心身の症状には、潜在意識(感情や刷り込み)が影響していることが多く、よって潜在意識にアプローチすることで症状が自然と軽減されるということが見られますが、治療にとって代わるものではありません。

とはいえ、意識が身体に与える影響がどれだけ大きいか、心身を分けて考えることはできないということが明らかではないかと思います。

文献内容

BMI ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(英国医師会ジャーナル)1964,1, 1145-1148

LIONEL FRY,* M.B., B.SC., M.R.C.P.; A. A. MASON,* M.B., B.S.; R. S. BRUCE PEARSON,* D.M., F.R.C.P.

概要

花粉やハウスダストに対して皮膚が敏感な47人の被験者を5つのグループに分け、4種類の濃度のアレルゲンを皮膚プリックテストの方法を用いてテストしました。

調査の第一段階では、「2回目のテストではアレルゲンに対する皮膚反応が起きない」というメッセージを催眠状態で落としたグループと、催眠にかけないグループとの比較を行いました。濃度の低い2種類のアレルゲンにおいて、催眠グループでは腫れ(のサイズ)が大幅に縮小しました。

第2段階では、被験者を3つのグループに分けました。被験者全員に催眠状態に入ってもらい、グループ1には皮膚反応に関するメッセージは特に言及せず、グループ2には「片方の腕のみ、皮膚反応が減少する、または消失する」というメッセージ、そしてグループ3には「両方の腕で皮膚反応が減少する、または消失する」というメッセージを落としました。結果、催眠後の皮膚プリックテストでは、3グループの全てで、同じ程度の反応の減少が見られました。

原文はこちら

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1813437/pdf/brmedj02626-0031.pdf

感想

私は医療従事者ではないため、あくまでもヒプノセラピストとしての感想になりますが、第一段階のテストでは、濃度の低いアレルゲンへのテストで「意識」が身体反応に作用したという結果でした。やはり、高濃度、または物理的な刺激が過剰な場合には、意識の作用にも限界があるのかもしれませんが、逆に物理的な刺激がそこまで強くなければ、十分に「意識」が症状に影響を及ぼすことができるという事を示しています。

既にアレルギーを持っていることがわかっている方たちは、意識の中で「私はXXXに対して敏感だ。XXXに触れると(食べると、飲むと)症状が出る」と既に認識されているわけです。また、症状を既に何度も体験していれば、「XXXに対して間違いなく反応する」と信じている可能性もあります。これらの信念が、物理的な刺激以上に症状を強くしているケースもあるのではないでしょうか。

ヒプノでアレルギーが治るわけではありませんが、症状を軽減することは十分可能であるということを示唆する研究ではないかと思います。

また、第2段階においては、催眠下で落としたメッセージの内容にかかわらず、催眠後の皮膚プリックテストでは症状の縮小が見られました。これは、催眠状態に入ること自体がプラスに作用していることを意味します。

催眠状態とは脳波がα〜θ波に入っている状態を指します。この脳波の状態はリラックス状態であり、副交感神経が優位になりますので、このリラックス状態を経験すること自体がそもそもストレスを軽減する事になり、皮膚プリックテストの結果に影響を及ぼしたのかもしれません。

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