前置き
国内外でのヒプノセラピーに関する研究のご紹介です。
催眠の研究は50年以上前から行われており、しっかりとした結果が出ているということをこれらの研究内容から知っていただければと願っています。
心身の症状には、潜在意識(感情や刷り込み)が影響していることが多く、よって潜在意識にアプローチすることで症状が自然と軽減されるということが見られますが、治療にとって代わるものではありません。
とはいえ、意識が身体に与える影響がどれだけ大きいか、心身を分けて考えることはできないということが明らかではないかと思います。
文献内容
家庭医学研修医のストレス及びテスト不安を軽減するための仮想(バーチャル)催眠の試験的利用
家庭医学、2010年2月Vol. 42, No. 2, p85
https://fammedarchives.blob.core.windows.net/imagesandpdfs/fmhub/fm2010/February/ Susan85.pdf
概要
研修プログラムに入るまでに、医師は数多くの試験を受けているため試験慣れしているだろうと思われるかもしれないが、実際は、代償が大きくなるにつれて、多くの医師が試験に対する不安を抱え続けている。不安は試験において実力の発揮如何に影響を与える可能性もあり、また当研修プログラムの研修医数名が ITE(家庭医実践研修試験)に対する強い不安を示したため、バーチャル催眠のソフトウェアプログラムを利用した。
16名の研修医が参加し、ランダムに選ばれた8名がバーチャル催眠のソフトを使用、残り8名は通常の試験準備を行なった。(ソフト)プログラムに参加した8名中6名が、ストレスを軽減できた・リラックスできた・(ソフト)プログラムを楽しんだと答えた。5名はテスト不安を軽減できたと回答し、3名がソフトを利用することでテストの点数が良くなったと感じたと回答。
感想
不安・恐怖などの感情にヒプノセラピーが非常に効果的であることはよく知られていますが、今回はセラピストによるセッションではなく、ソフトウェアプログラムの活用によるものです。
通常のヒプノセラピーのセッションでは、クライアントお一人お一人に合わせた内容・表現で潜在意識にメッセージを落としていきますが、ソフトプログラムでは当然それができません。にもかかわらず、ソフトプログラムを利用した8名中6名が効果を感じたというのは、どんな形であれ潜在意識に働きかけることが効果的かということをあらわしていると思います。
潜在意識には、体験・経験したことのイメージに、その時に感じた感情が関連づけられて保存されます。そして、似たようなイメージに遭遇するたびに、関連づけられた感情が自動的に湧き上がります。カレーを食べるたびに、子供の頃お母さんがよく作ってくれた味を思い出して気持ちがあったかくなったり、犬に出くわすと、子供の頃に噛まれた時の恐怖が蘇ったり・・・良いことであろうと悪いことであろうと、イメージと感情はセットで保存されていて、似たようなイメージに遭遇するたびにセットの感情が湧き上がり、その度に関連付けが補強されていきます。
テストや試験に緊張や不安はつきものです。実際、ある程度の緊張は悪いことではありません。が、上記の例のように試験を何度も何度も受けるにつれて、そしてその度に難度が上がっていったり、試験結果如何で自分の今後が大きく左右されるなど代償が大きくなったり・・・ということがあると、試験のたびに関連づけられている恐怖や不安が補強され、強くなっていくということがありえます。
緊張や不安によって実力発揮ができないというような状況は試験・テストには限りませんよね?スポーツのゲームや試合、人前でのプレゼン・スピーチなどでも同様です。いわゆる「本番に弱い」人がいますが、これも関連づけられたなんらかの感情によって、実力を出せなくなっているということが考えられます。潜在意識に働きかけて、その関連付けを解消し、緊張や不安などを軽減することによって、リラックスし気持ちが落ち着き、より実力を発揮できやすくなります。
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