記憶って不思議だと思いませんか?「間違いなくこうだった」と自分の記憶の中で確かに感じることが、実は違っていたり… 自分の中では動画のようにしっかりと覚えている内容なのに、それが事実と違うってどういうこと?
それは、私たちの経験が動画を撮るように保存されているわけではないことからきています。記憶の仕組みを理解すると、同じ状況に居合わせていてもどうして人によって記憶が異なるのか、印象が異なるのか、どのようにそれが潜在意識や言動に影響を与えるのかがわかりますよ。
スクリプト
さて、こんな経験おありではないですか?誰かと思い出話をしている時に、相手の記憶と自分の記憶の内容が完全に逆だったり、話が前後していたり・・・「あるある」ではないかと思いますが、今日はそんな記憶の仕組みについてお話ししたいと思います。
これは、NLP、神経言語プログラミングの考え方なのですが、私たちは日々、膨大な量の刺激にさらされています。それを感知するのが五感ですね。視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚、これらを通じて、外部環境の情報を捉えて、フィルターを通して処理します。このプロセスで起きるのが、削除、歪曲、そして一般化です。何がどのように削除、歪曲、一般化されるのかは、その人の言語、信念、価値観、記憶などによって異なってきます。つまり、同じ状況に居合わせていても、人によって何が削除され、どのように歪曲され、一般化されるかが異なるから、記憶している内容が少しづつ、またはかなり異なったりするわけなんですね。
ここで、私たちの記憶が、実はいかに結構いいかげんか!という実例をご紹介したいと思います。これは、私の母校のHMIのディレクターが授業中にしてくれた話なのですが、ある知人の女性が車を運転中、信号で減速して止まろうとした時に、隣のレーンを走っていた消防車がいきなり寄ってきて事故になったのだそうです。
その女性が驚いたことに、現場に到着した警察官に対して、消防隊のメンバーが、消防車が乗用車の方に寄って事故ったのではなく、その女性が運転していた車の方が寄ってきたと供述したのだそうです。消防隊ともあろうメンバーが、事故の原因を一般市民になすりつけるなんて、と呆気に取られるやら、理不尽に感じるやら、とても腹立たしく感じ、寄ってきたのは消防車の方だと警察に主張したそうです。
じゃあ、カメラで確認しようということになり、その交差点に設置されていたカメラを確認したところ、そこに映っていたのは、なんと女性が運転していた車が信号の前あたりで消防車の方に急に寄って当たっているところ。それをみた女性はもちろん、呆気に取られました。数日経っているわけでもなく、せいぜい数時間前のことであるにもかかわらず、その女性の記憶の中では自分はまっすぐ徐行していて、消防車がぶつかってきたからです。
驚きではないですか?でも、フィルターによる、削除、歪曲、一般化の良い例だと思います。
さて、フィルターを通った後、つまり削除、歪曲、一般化された後に、その状況・事象に対する internal representation 日本語では「内的表象」と訳されているようですが、この内的表象を作り上げます。これが、いわゆるその事象のイメージで、それに対して感情や、感じたこと、思ったことが紐づいて internal state「内的状態」を生み、その結果が言動に現れます。
この内的状態、つまり事象のイメージである内的表象にその時に感じた感情や思考が紐づいて潜在意識に落ちることで、似たようなイメージに遭遇すると、ついいつも同じ言動をとってしまうのです。
例えば、チョコレートを見るとつい手が伸びてしまうのも、特定の人に対していつも冷たく接してしまうのも、人前に立つと手に汗をかいて、動悸が始まるのも、全て同じ仕組みからきています。
これらの紐付けは潜在意識に五万と存在します。紐付け自体が悪いわけではありませんし、この紐付けのおかげで、何も考えずに蝶結びができたり、歯を磨いたりもできるわけです。でも、過去に作られた紐付けが、当時は自分を守るために必要だったのかもしれないけれど、何年も数十年も経った現在はもはや不要なだけでなく、日々の仕事や生活に支障が出ている場合があります。
そんなマイナスな紐付けも手放せるということをぜひ、覚えておいてくださいね。
コメント