いつの間にか形成されている癖。気づくと触れている髪の毛、気づくとしている貧乏ゆすり。意識してその行動をやめても、しばらくするとまたやっている・・・体が勝手に動くかのようなこれらの行動も、感情同様、潜在意識から来ています。これらの情報はいつ、どうやって潜在意識に落ちていると思いますか?
今日は、情報がいつ、どういうふうに潜在意識に落ちるのかについてです。前回ご紹介したメンタルバンクも、この仕組みをうまく利用しています。だからこそ、効果が高いんですね。
スクリプト
前回は、毎晩5分コミットすることで目標にどんどん近づけるメンタルバンクについてお話ししましたが、じゃあどういう時にどういう条件が揃うと情報が潜在意識に落ちるのかについて簡単にご説明したいと思います。
意識が顕在意識と潜在意識で成り立っているのはご存知の方も多いかと思います。そして、意識の大半は潜在意識であり、顕在意識は氷山の一角でしかありませんが、この顕在意識と潜在意識の間にはフィルターが存在します。このフィルターが主に活躍するのが睡眠時。
その日に起きたこと、入ってきた情報などは眠りに落ちた後に整理されます。潜在意識に落とす必要があるのかを判断しているのがこのフィルターなわけです。じゃあ、このフィルターではどうやって特定の情報が重要かどうか、潜在意識に落とす必要があるのかどうかを判断しているのでしょう?
まず、何度も反復されたこと、繰り返し行われることは重要なのだと認識されます。毎日欠かさず行うこと、練習していることなどは重要性が高いと判断され、潜在意識に落ち、また日々の反復と共に強化、補強されていきます。ちょっと思い出してみてください。子供の頃、初めて蝶結びができるようになった時のこと。最初は「紐をクロスして・・・ここで輪っかを作って・・・」と考えつつやっていましたよね?それが何度もするうちに意識しなくてもまるで勝手に指が動くかのように今では蝶結びができるはず。スポーツや楽器、勉強でも、毎日練習したり問題を解いたりすることで、演技や演奏が上達したり、数学の問題を解けるようになったりするのです。
次に印象が強かったこと。これも重要だと認識されて潜在意識に落ちます。ショックだったこと、感動したことなど、トラウマのようなレベルではないけれども感情が大きく揺れ動くような出来事は、そのイメージと感情がセットになってフィルターを通って潜在意識に落ちます。
例えば、初めてのフライトで、気流が非常に不安定で揺れがひどく、怖いと感じたなどという場合。どの程度「怖い」と思ったかによりますが、飛行機というイメージと怖いという感情が潜在意識に落ちる可能性が高くなります。そして、次回のフライトでまた揺れが酷かったりすると、この「飛行機=怖い」という関連付けがさらに補強されて、飛行機恐怖症につながる可能性もあります。先ほどの反復の要素ですね。
つまり毎晩、睡眠中に行われる情報整理では、反復されること、印象が強く感情が大きく揺れることなどフィルターが重要視する内容が潜在意識に落ちやすいということです。
次に、フィルターが機能しない、おやすみしてしまう時もあり、当然、その時の経験が潜在意識に落ちやすくなります。どういう時にフィルターがお休みするかというと
まず、8〜9歳ぐらいまでの期間はそもそもフィルターが存在しません。つまり顕在意識がまだ形成されておらず潜在意識剥き出しということです。子供は「スポンジのようになんでも吸収する」と言われますが、これがつまり、フィルターがないのでなんでも潜在意識に落ちるということなのです。トラウマができやすいのもこのためです。
8歳〜9歳ぐらいになると考える力、論理、根拠、(根拠のある)願望や意志が生まれます。これが顕在意識です。それと共に、フィルターが形成されて、潜在意識に情報を落とす前に選別されるということが起きるようになるわけです。
では、この形成されたフィルターは、どんな時に機能しなくなるのでしょう?
一つはそう、催眠状態ですね。脳波がα、θ波になるとフィルターはちょっとお休みモードに入ります。眠る直前、起きる直前以外でも、マッサージを受けていてうとうとと意識が薄くなったりする時も、瞑想状態で顕在意識が薄れる時も、同じです。
もう一つは大きなショックを受けて、極度の逃走闘争本能状態に入る時です。例えば事故にあった、災害に遭遇したなどの時は、一気に交感神経優位状態になり、フィルターが機能しなくなります。このような状況ではとにかく生き残るための本能的な行動が優先され、フィルターだけでなく顕在意識、思考力が一時的に働かなくなったりします。当然のことながら、このような内容は潜在意識に落ち、場合によってはトラウマとなります。
最後に意外と頻繁に起きていて、かつ気づきにくいのがオーバーロードです。私たちは毎日膨大な刺激や情報にさらされています。これをメッセージユニットと呼びますが、それは外から入ってくる情報だけではなく、体内で感じている感覚や、自分自身の思考なども全て情報、刺激として脳では扱われます。そして1日に処理できる刺激・情報量は、許容量は人によって異なります。そして、その日の刺激・情報がその容量・キャパを超えると、キャパオーバーになって、フィルターが機能しにくくなります。
そして睡眠中に情報が整理されることで、翌日はフレッシュに空になった容量でまた1日が始まる・・・これが本来の姿です。もちろん睡眠不足だったりなんらかの理由で情報の整理がうまくいかないと、翌日も中途半端に埋まっている容量で1日をスタートすることになります。質の良い睡眠が重要な理由の一つでもありますね。
前回お話ししたメンタルバンクでは、寝る前に、自然な催眠状態に落ちる直前につけるため、それだけでも潜在意識に落ちやすくなりますが、毎晩情報を整理するフィルターの機能も活用しています。毎晩メンタルバンクをつけることで反復にもなり、メンタルバンクではその日に起きたポジティブでプラスな出来事、アファメーションも書きますので、より前向きでポジティブな感情とも紐づけることができるわけです。メンタルバンクは情報が潜在意識に落ちる仕組みを非常に効果的に利用したシステムというわけですね。
いかがでしたか?このように、さまざまな条件、状況で、情報が潜在意識に落ち、気づかないうちに補強されて恐怖症や、好ましくない習慣や癖になったりすることも多いのです。でも、潜在意識に落ちた情報はいくらでも変えることができるということをぜひ、覚えておいてくださいね。
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