エピソード23 腹痛にも、試験不安にも!イメージング(イメージ療法)が効く! | ヒプノセラピーのアンダーセンス
English

エピソード23 イメージング(イメージ療法)が効く!腹痛にも、試験不安にも!2つの症例をご紹介

数学 試験不安 イメージ療法

イメージング(イメージ療法)については、数多くの研究が発表されています。今日は2つの症例をご紹介します。

1.「子供の再発性腹痛に対する治療としての誘導イメージ療法の評価」BMC Pediatrics 2006

Evaluation of guided imagery as treatment for recurrent abdominal pain in children: a randomized controlled trial - BMC Pediatrics
Background Because of the paucity of effective evidence-based therapies for children with recurrent abdominal pain, we evaluated the therapeutic effect of guide...

2. 北イリノイ大学、教育心理学・カウンセリング・特殊教育学部の博士課程論文 1996

Just a moment...

動画でご紹介した「ヒプノセラピーで対応できる相談内容100選」

スクリプト

イメージ療法、私は誘導イメージング、イメージングと呼んでいますが、実は数多くの研究結果が発表されています。その中から今日は、慢性の腹痛を訴えている子どもたちの症例と、大学生の試験不安に関する症例をご紹介したいと思います。

まずは2006年、BMC Pediatrics に掲載された「子供の再発性腹痛に対する治療としての誘導イメージ療法の評価」という論文です。

アリゾナ大学の小児科、及びトゥーソン都市圏の小児科医が、5歳から18歳までの22人を研究対象として募りました。対象となったのは、過去3カ月内に、通常の日々の活動に支障をきたすほどの腹痛を3回以上経験した子どもたちです。

子供たちは呼吸法のみを学ぶグループと、斬新的筋弛緩法(体の部位に意識を向けながら、徐々に筋肉をリラックスさせていくリラクゼーション方法のことです)を併用した誘導イメージングを用いるグループにランダムに分けられ、両グループとも、4週間のセラピストとのセッションを受けました。子供たちは痛みがあった日数、痛みの度合い、腹痛のためにできなかった活動の基準値をまず提出し、またセッションを受けている期間も痛み日記に記録をつけました。セッションを受けた月とその翌月は、電話でも痛みのあった日数、痛みのためにできなかった活動があった日数の報告がされました。

月に4回以下の腹痛でかつ、痛みのためにできなかった活動がゼロになった場合は、「治癒」と定義されました。気分の落ち込み、不安、身体化(身体かとは、心理的なストレスが身体症状として現れることを言いますが)、これらについても、子供たちと両親の両方の基準値を測定しました。

ランダムに選択された、誘導イメージングを受けた子供たちは、週1のペースで4回のセッションを受けました。初回のセッションは約1時間、斬新的筋弛緩法を行い、そこから誘導イメージングに入りました。リラクゼーションの状態に入った時点で、痛みを象徴するイメージを自由に思い浮かべてもらい、できるだけ事細かく、あらゆる感覚を使ってそのイメージを説明するよう促されました。というのも、感じているイメージが詳細であればあるほど、痛みの軽減効果が大きい可能性があったからです。

しっかりとイメージが掴めたら、痛みのイメージ(最初のイメージ)を取り除くための2つ目のイメージを自由に思い浮かべてもらいました。リラクゼーションとイメージングを録音した内容を子供達に送り、一日2回、練習するように伝えました。残り3回のセッションは20分から30分程度の長さで、どの程度できているか、日々の練習を行っているかを評価し、再度復習と補強を行いました。これらのセッションでは、心理療法やその他のカウンセリングは一切行われませんでした。

結果、基準値では誘導イメージングのグループの方が前月に痛みがあった日数が多かったのですが(23日:呼吸法グループは14日)、誘導イメージングを学んだ後は、リラクゼーショングループよりも顕著に痛みがあった日数が減少しました(翌月:67%、リラクゼーショングループは21%、翌々月:82%、リラクゼーショングループは15%)。

また、「治癒」と定義された、月4回以下の腹痛かつ、痛みのためにできなかった活動がゼロに関しても、誘導イメージングのグループの方が「治癒」した子供の数が多かったことがわかりました(2ヶ月後、誘導イメージング 70%、呼吸法 14%)

私たちが感じる痛みは、人にもよりますが、実際に体が発している痛みは3割程度で、残りの7割程度は心で増幅しているとも言われています。怪我した時に、怪我をしたと気づいた途端に痛みを感じ始めたという経験はありませんか?また、アスリートなどは、試合中は痛みを感じなかったりしますよね。痛みの度合いをヒプノやイメージングで緩和できるのはこれが理由です。体と心が深く繋がっていることが顕著にわかる例でもあります。

ですが、ここで一点、ヒプノセラピーで、体の症状(痛みなど)を扱う場合は、あくまでも病理が原因ではない場合、つまり、検査の結果異常なしと出た場合か、もしくは医師の許可があった場合のみになりますので、その点はご注意ください。

次は、1996年北イリノイ大学、教育心理学・カウンセリング・特殊教育学部の博士課程学生の論文です。

イメージングが、大学生の数学に関する不安を緩和し、自己効力感、つまり問題を解けるという自信をつけて、数学の点数を伸ばすことができるかどうかというのが調査目的でした。

38人の大学生がランダムに2つのグループに分けられ、最初の週は全員が事前テストを受けました。翌週からの5週間(第2〜6週)は、グループ1の学生はリラクゼーションを行った後に数学の問題を解きました。グループ2の学生は、リラクゼーションとともにイメージングを行った後に数学の問題を解きました。最後の週(第7週)には全員が事後テストを受けました。

リラクゼーションのみのグループとイメージングのグループを比較した際、イメージングのグループの学生たちの方が、もともと自己効力感、問題を解けるという自信が低かったのですが、調査後の結果では、イメージンググループの自己効力感が顕著に上がったことがわかりました。リラクゼーションのみのグループの学生たちは、調査前も後も、自己効力感に大きな変化は見られませんでした。

また、補足分析の結果では、イメージングによって、自分は飲み込みが早い、習得が早い学生だという自信がアップするというメリットがあったということもわかりました。

いかがでしたでしょうか?イメージングのパワーを少しでも感じていただけましたか?
潜在意識にダイレクトにアクセスできる催眠状態で行うイメージングは、とてもパワフル。どんな相談内容に対応できるか興味を持たれたら、動画下のリンクから「ヒプノセラピーで対応できる相談内容100選」をご覧ください。

コメント