エピソード21 本番に強くなる近道:イメージング(イメージ療法) | ヒプノセラピーのアンダーセンス
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エピソード21 本番に強くなる近道:イメージング(イメージ療法)

Stage fright performance anxiety

アスリートがよく使うイメージトレーニング。これは、スポーツの領域だけで効果があるわけではありません。が、顕在意識のレベルだけで行うイメージトレーニングは、かなりの反復、時間が必要です。

ヒプノセラピーでは、イメージで学び、イメージでコミュニケーションをとる潜在意識にダイレクトに、自分が本番に強いイメージ、自由に堂々と人前に立っているイメージ、伝えたいメッセージを自分らしく表現している自分のイメージ…を強く印象付けることができます。

潜在意識レベルで行うパワフルなイメージトレーニング、それが誘導イメージング(イメージ療法)です。今日は、このイメージングについてご紹介します。

スクリプト

私はヒプノセラピストに転向する前、20年間会議通訳として仕事をしていました。そして、一時期、6、7年ほどでしょうか・・・会議通訳養成学校で教えていたことも。

その時に、練習では訳せても、指名されると辿々しくなってしまったり、試験になるとつまづいてしまう受講生が何人かいました。また、「私は英日が苦手」などと何らかの思い込みがあって、講師からみると、そこまで問題はないようなのに、思い込みからマインドブロックになってしまっているという学生も。

そこである時、授業にイメージトレーニングを取り入れてみたことがあります。受講生に目を閉じてもらって、呼吸をまず整え、理想の姿、つまり滑らかに通訳できている自分を想像してもらったわけです。

普段から授業の評価は高かったのですが、こればかりは全く受け入れてもらえませんでした。「こんなことで上達するわけが・・・」的なムードがプンプン。なので、数回試してやめてしまいました。当時の私は、意識の仕組みも全く知らなかったので、説得力もなかったのでしょう。

イメージトレーニングは間違いなく効果があります。だからこそ、アスリートなどスポーツの領域でもよく使われていますね。スポーツの場合だと、イメージした後に練習を重ねたりす るので、潜在意識に落ちやすいのではないかと思います。ただ、通常顕在意識レベルだけでイメージトレーニングを行っている場合は、何度も何度も時間をかけて反復する必要があります。それだけイメージが潜在意識に落ちるまでに長い時間がかかるということです。

潜在意識にはイメージと感情や感覚が紐づいて保存されているということは、今までも何度もお話ししてきました。ですので、ヒプノセラピーでは、催眠状態においても様々なイメージを活用します。特に潜在意識には時間軸がなく、過去も現在も未来もないので、自分がありたい姿、理想の状態を事細かく思い描き、その時の感覚や感情まで想像することで、まるですでに実現した現実かのように、強く潜在意識に印象付けることができるのです。

ゆえにイメージトレーニングも、ダイレクトに潜在意識に働きかける方が、はるかに効果が高いと言えます。ですが、ヒプノセラピーではイメージトレーニングではなく、英語で言うとtherapeutic imagery、guided imagery と呼ばれています。日本語ではイメージ療法と呼ばれることが多いようですが、私は誘導イメージング、通常はイメージングと呼んでいます。これは、催眠状態に入った後に、セラピストがゆる〜いストーリーを展開していき、それを自由に体験してもらうという内容です。

イメージングには、大きく分けて2種類あります。サイレントスタイルとスポークンスタイル。スポークンタイプは、ご自身が感じているイメージを催眠状態にありながら、口に出して説明するタイプです。言葉にして内容を説明することで体験感が深まり、効果も高まります。逆に、サイレントタイプは、セラピストの描写するストーリーから、自由に自分の中で想像を膨らませてもらい、その内容を説明してもらうことはありません。

イメージというと、見えるものと思われる方も多いかと思いますが、「見える」人もいれば、「聞こえる」人、または「なんとなく何か感じる」人もいますので、イメージの捉え方は人様々。「目を閉じてもイメージを思い浮かべることができない」人はイメージングには適していないと言われることもありますが、それは大きな間違いです。人の感覚というのは視覚だけではありませんし、その人によって強い感覚というのが異なって当たり前です。逆に、まるで映画・動画でもみているかのようにイメージが現れる人の方が少ないと思います。

イメージングの内容も様々で、比較的現実的なストーリーもあれば、おとぎ話のような世界観のものもあります。メタフィジカル、アーキタイプのような非物質的、抽象的、霊的なものもあります。ちなみに、お聞きになったことがあるかもしれない前世療法も、イメージングのスポークンスタイルの一種です。そう、前世療法って何か特別な療法と思われるかもしれませんが、特に特別なものではなく、イメージングの一種です。

潜在意識にダイレクトに働きかける秘密兵器とも言えるイメージング。次回のエピソードでは、「イメージが湧かなかったらどうするの』など、私のイメージングの体験も踏まえてシェアしたいと思います。

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