「本番に弱い」仕組みと原因

ご自分に当てはまるのは以下のどれですか?
- 練習ではうまくいくのに、本番でつまづいてしまう
- 自分1人の時はできるのに、人前に出るとうまくいかない
- いざという時に頭が真っ白になってしまう
- 失敗するかもという不安で過度に緊張してしまう
- 人前に出ることを考えただけで不安・恐怖を感じる
「本番」の状況は様々ですよね。スポーツ、演技、演奏、プレゼン、スピーチ、試験などなど。ですが、共通しているのは、「いざという時に実力を発揮できない」ということ。
上記のような現象がなぜ本番で起きて、力を存分に出せなくなるのでしょうか?その人・状況によってもちろん異なりますが、主な要因として次のようなものが考えられます。
- その状況(プレゼン・試合など)に慣れていない、今まで経験したことがない
- 過去に苦い・辛い経験をしたことがある
- 自分(または自分の能力)に自信がない
- 「失敗したらどうしよう」という恐怖・「失敗できない」というプレッシャーを感じる

複数の要因が組み合わさっていることも多いと思いますし、自律神経(特に交感神経)が絡んでいることも事実ですが、これらは全て潜在意識のパターンが原因です。
つまり、「意志の力」でどうにかなるものではないということです。では、どのように解決できるのかを見ていきましょう。
ヒプノセラピーでの解決方法
上記のパターンをそれぞれ見ていきます。
その状況(プレゼンなど)に慣れていない・今まで経験したことがない

潜在意識は「未知」、つまり経験していないことを嫌います。潜在意識の大きな役割は自分を守ることであり、今まで経験してないことは、「結果がどう転がるかわからない=リスク」と捉えるためです。
過去に嫌な、辛い思いをした経験でさえ、「結果がどうなるかわからない未知」よりはマシ・・・と判断することがあるほど。そのぐらい「未知」を避けようとするので、例えば初舞台、初プレゼン、初試合など、「初めて」の状況で緊張するのは、潜在意識の特性から当たり前とも言えます。
当然のことながら、何度も繰り返すことで「未知」が「既知」に変わっていき、それと共に緊張の度合いも減っていきますので、この初回を無事乗り越えることができれば、特に問題はないでしょう。
ですが、まだ場数を踏んでいないけど「絶対に失敗できない」状況や、初めてだけど「失敗できない」状況も、ありますよね。その場合は、イメージ療法で「未知」を「既知」に変えることができます。
面白いことに、潜在意識にはロジックも時間軸もありません。つまり、現在か未来かも判断できませんし、「これはただのイメージであって現実ではない」という判断もできません。ですので、潜在意識に情報が落ちやすい催眠状態で、「全てがうまくいっている情景」「成功している姿」を事細かにイメージして、そこに感情や感覚を紐づけることで、潜在意識が「すでに経験した事」と認識すると、本番で極度に不安を感じたり緊張することもなく、普段通り、またはイメージした成功体験に近いパフォーマンスをすることができます。
過去に苦い・辛い経験をしたことがある
例えば初回でつまづいてしまったり、過去に苦い経験をしたことを、あとあとまで引きずってしまうこと、ありますよね。そのインパクトによっては、潜在意識にパターンとして落ちてしまうことがあります。例えば、「初めてのことはうまくいかない」「新しいことを始めるとろくなことがない」などというパターンが潜在意識に落ちてしまうと、全く関係のないことでも極度の不安や緊張を感じるようになったり、新しいことに挑戦することさえ避けるようになったりなんていう可能性も。
これは、時間軸を持たない潜在意識が、過去のリスクを現在に持ち込んでしまっているのです。頭(顕在意識)では、過去のリスクはもはや現実的ではないと例えわかっていたとしても、9割方を占める潜在意識にはロジックはないので、まるで過去にタイムスリップしたかのようにパターン通りに行動してしまいます。
このような場合は、潜在意識に落ちているパターンを変えて、過去の経験・リスクと現実を分離するということを行います。また、イメージ療法で成功している姿、うまくいっている情景などポジティブなイメージを潜在意識に植え付けるということも非常に有効です。
自分(または自分の能力)に自信がない
これも幼少期など過去の経験に起因していることが多い問題ですが、自分自身、つまり全般的に自信がないのか、特定の能力・スキルなどに自信がないのかなど、詳細を見極める必要があります。
幼少期など過去の経験から自信を失ったということであれば、その出来事のイメージに対してネガティブな感情や感覚が紐づいていますので、その関連付けを変えていきます。また、特に幼少期から来る内容については時間の経過とともに関連付けが広がっていることが多いため、減感作療法も効果的です。未解決の怒りや悲しみなどが潜在意識に溜まっていることも多いため、それらのネガティブな感情を手放すということも重要になります。
特定の能力・スキルに限ってという場合は、イメージ療法で解決できることが多いです。
「失敗したらどうしよう」という恐怖・「失敗できない」というプレッシャーを感じる
この場合は、過去の失敗体験からくる場合もあるかと思いますし、自信がないことからくる場合もあると思います。加えて、責任感や、その本番(演奏・演技・スピーチ・プレゼン・試験)のご自分にとっての重要性によっても変わってくると思います。
こと「失敗したらどうしよう」という感情については、予期不安と言って、潜在意識が未来のリスクを現在に持ち込んでしまっている例になります。やはり、潜在意識に時間軸がないことから起きる現象ですが、過去の経験から、そのリスクを未来に投影して心配しているということも多いです。こちらについても、やはり(リスクに関する)時間軸を分離するということを行います。
ご自身にとってその「本番」がどういう重要性・意味を持つのか、また「失敗」への恐怖やプレッシャーを感じる原因がどのあたりにあるのかなどの詳細をお伺いしながら、潜在意識のパターン、「失敗」というイメージや感情、感覚に紐づいている内容を変えていくことで解決することができます。
ヒプノセラピー(催眠療法)のメリット
効果が出るのが早い
情報が潜在意識に落ちるには、基本的に2つの要素のいづれかが必要です。強烈なインパクト、または反復。トラウマになるような出来事に遭遇すると、顕在意識と潜在意識の間にあるフィルターが機能しなくなり、一気に潜在意識に落ちます=トラウマ。もしくは、何度も繰り返すことで潜在意識に情報が落ちていきます。練習することで、何度も反復することで、いちいち考えなくても体が自然に動いてできるようになるのは、そのパターンが潜在意識に定着したためです。ヒプノセラピーでは直接メッセージを潜在意識に落とすことができますので、比較的早く効果が見られます。
他セラピーとの比較
3種類のセラピーの成功率に関する比較研究が、アメリカン・ヘルスという雑誌に掲載されました。
精神分析:セッション600回の成功率 38%

行動療法:セッション22回の成功率 72%

ヒプノセラピー:セッション 6回の成功率 93%

(Study by Alfred A. Barrios, PhD, “Toward Understanding the Effectiveness of Hypnotherapy: A Combined Clinical, Theoretical, and Experimental Approach”, UCLA)
行動に移しやすい
「頭ではわかっているけど、なかなか行動に移せない」というのは、顕在意識では行動したいと思っていても、潜在意識がそれに同意していないからです。新しいパターンを落として潜在意識の抵抗が減らすことで行動しやすくなります。
継続しやすい
潜在意識に新しいメッセージやパターンを落とすということは、種蒔きや苗を植えるようなイメージとお考えください。種を蒔いても苗を植えても、放ったらかしでは大きく成長する確率が低くなってしまいます。ですので、毎日の生活で実践して、新しいパターンを定着させることが大切ですが、すでに潜在意識に情報が入っているので、行動に移しやすいだけでなく、継続もしやすくなります。
ヒプノセラピー(催眠療法)につい
ヒプノセラピーが向いていない方
- 問題の原因が外にある(環境、周りの人など)とお考えの場合
- 何か、誰かに問題を全部解決して欲しいとお考えの場合
- 変わりっこない、できるわけないと固く信じ込んでいる場合
- 解離性障害、解離性の症状が見られる方(ヒプノセラピーは禁忌になります)
催眠と潜在意識
催眠状態は誰でも毎日経験している!
実は、誰でも毎日、一日数回は催眠状態を経験しています。ヒプノセラピーでは、このごく自然で理にかなったプロセス・状態を、ヒプノセラピストが言葉で誘導することで再現しますが、なぜ催眠状態に入る必要があるのでしょうか?

それは、催眠状態に入ることでご自身の潜在意識にアクセスすることができるからです。日常生活における私たちの言動の8、9割は潜在意識がコントロールしています。初めて自転車に乗れるようになった時のことを思い出してみてください。最初は腕を小刻みに動かしながら、意識してバランスをとりながら乗っていませんでしたか?慣れてくると何も考えなくても自転車をコントロールできるようになりますよね?これは学んだ情報が顕在意識から潜在意識に落ちて、方程式のようにフォーミュラのように植え付けられたからこそです。逆に、潜在意識に一旦植え付けられると、それを変えるのは簡単ではありません。だからこそ、「頭では分かっているんだけど・・・どうにも体がいうこと聞かない」ということにもなるのです。
潜在意識の記憶について
また、潜在意識にはご自身の人生における様々な体験が記憶されていますが、それらの記憶は録画したように保存されているわけではありません。潜在意識には理論・ロジックはなく、イメージと感情が関連付けられて保存されています。例えば子供の頃に、犬に噛まれた経験があるとしましょう。場合によっては、その痛みや怪我の度合い、恐怖感から「犬のイメージ」とその時に感じた感情が関連づけられて潜在意識に落ちてしまいます。すると犬を見るたびに、噛んだ犬ではないとわかっていても、例えばそれが子犬だったとしても、「犬=怖い、危険」という関連付けから潜在意識が自動的に幼少期の反応をするのです。これは意地悪でもなんでもなく、「自分に危険(だという関連付けがされた)場所・状況は避けよう」として潜在意識が自分を守ろうとする術なのです。
ヒプノセラピーの歴史

人類の歴史を紐解くと、催眠は古代エジプト時代から使われていたほど古い技術であることがわかります。「催眠」という言葉こそ使われていなかったものの、錬金術でよく知られるスイスの医師だったパラケルスス (1493 – 1541)、また動物磁気「メスメリズム」で知られるメスメル (1734 – 1815) も活用していました。事実、メスメルが動物磁気だと思っていた現象こそが催眠であり、メスメルがきっかけで、この現象が研究されるようになり、1842年にイギリスの医師、ジェイムス・ブレイド (James Braid) によって「ヒプノーシス (hypnosis)」という言葉が生まれました。
1950年代には米国の著名な精神科医でヒプノセラピストだったミルトン・エリクソンの働きかけにより、ヒプノセラピーが米国医師会に認められました。心理学の領域でも海外では認められている手法になります。そして、米国政府に初めて認定された、ヒプノセラピー専科大学 HMI (hypnosis Motivation Institute) は1968年に設立され、インターンシップでの実践を含む1年間にわたる教育(計720時間)を提供しています。1973年、米国職業名辞典で「ヒプノセラピスト」という専門職を定義したのが、HMI の創設者であるジョーン・キャッパス博士でした。この定義は今日でも変更されることなく使われています。
日本では、ヒプノセラピーは暗示療法とも呼ばれることがありますが、暗示はヒプノセラピーで使われるツールの一つです。イメージング(イメージ療法)も同様ですが、何か一つのツールを使うというよりは、ほとんどのセッションでこれらのツールを組み合わせて、ご自身のありたい姿、ありたい未来の姿を潜在意識に印象付けていきます。
ヒプノセラピー・セッションについて
ヒプノセラピーをお受けいただく前にぜひ知っておいていただきたいことがあります。それは、ヒプノセラピーが協同作業、参加型だということです。セラピストが希望・要望をお聞きして、催眠状態に誘導した後に勝手にメッセージやパターンを落とすわけではありません。そんなことをしても、情報は潜在意識には入っていきません。
まず大切なのは、セッションを受けられるご本人に「解決したい」「改善したい」「達成したい」など強い願望があることです。そして何がうまくいっていないのか、障壁がなんなのかなどの現状から、何がどう変われば良いのか、解決したら・改善したら・達成したらどういう結果になるのか、どういう自分の姿を望んでいるのか、などご相談内容についてお話をお聞きしたり、簡単なエクササイズなどをしながら、セッションの方向性を決めていきます。

セッション後もメッセージ・パターンを落として終わりではありません。実はここからが最も重要。上記にも記載したように、セッションで行うのは種まき、苗植えのようなものです。日常の生活で実践することで、落としたメッセージやパターンが大きく育ち、意識の中でしっかり定着していきます。
つまり、セラピストは潜在意識担当、ご自身が顕在意識担当という、チームワークで進めていくことになります。日常生活の中で実践する中で、気づくことも多いと思います。うまくいったこと、うまくいかなかったこと・・・それらを次のセッションでまた活かしていくというサイクルになります。
競技スポーツに例えるならば、ヒプノセラピーのセッションがメンタルトレーニング。日常生活の中での実践、行動が日々の練習のようなイメージでしょうか。
ヒプノセラピー・セッションの流れ
まずは30分の事前コンサル(無料)
ご相談内容を簡単にお伺いし、ヒプノセラピーでどのように解決できるのか方向性をご説明します。またお持ちの疑問・質問にもお答えしますので、お気軽にご予約ください。初回セッションのご予約も、事前コンサルにて承ります。
初回セッション

ヒプノセラピーの基礎作りのセッションになります。
ご自身のサジェスタビリティのチェックなども行うため、90分と少し長めです。サジェスタビリティとは、入ってくる情報をご自身がどのようにプロセスされるかというタイプのことで、どのタイプなのかの判断を行うことで、より適切な表現でメッセージやパターンを潜在意識に落とすことが可能になります。
また、初回セッションはサジェスタビリティなどの状況により、延長する場合がありますので、時間に余裕を持ってご予約ください。
2回目以降のセッション
全て60分のセッションになります。前半30〜40分ほどは前回からの進捗、気づいたこと、感じていることなどについてお話しいただき、後半20分ほどが催眠になります。
ヒプノセラピーは、現在は全てオンラインセッションとなります。対面でもZoomでもヒプノセラピーの効果は全く変わりません。ご自宅などプライバシーが保てる静かな環境であればお好きな場所でお受けいただけます。詳細は事前コンサルでお伝えしています。